コッツウォルズの亜麻畑

コッツウォルズの亜麻畑

2017年8月20日日曜日

美しく全体が調和した小さな庭


小さい庭の3つ目はガーデンデザイナーのヘレン・デ・ウィッテさんの自邸の庭です。ビクトリア時代に建てられたタウンハウスにある庭の広さは5×8メートル。もともとあったボーダーガーデンと芝生を取り払って、硬い構造物を使ったデザインを基本に植栽を加えてうまく調和させています。

彼女はルイヴィトンやラルフローレンなどの高級ブランドのマーチャンダイザーを以前していましたが、ガーデンデザインを学びなおしてデザイナーとなった経歴を持っています。

家の外壁と隣地との境界のフェンスが同じ現代風の素敵な栗の木材を使用して作られ
家と庭をつないでいます

園路とテラスに使われているレンガがロンドンの建物の壁のレンガと美しく調和しています
そしてこの壁にはテイカカズラとジャスミンが覆っていく予定です
一方、庭の両側のチェスナットの板のフェンスには植物は絡ませないようにしています

白い花をつけるリベルチア・フォルモーサの園路がテラスへ導きます
常緑のその葉が季節季節の花、
チューリップやゲラニウム、ペンステモンなどとよいコントラストを与えます

鉢植えのケマンソウやアスチルベの花とシダが日陰の一角を明るくしています

ベルギーから取り寄せた自然な感じのレンガ




ヘレン・デ・ウィッテさんの硬い構造物を使った庭の5つの秘訣

①小さい庭では硬い構造物が四季を通じて骨格を提供する
 硬くて大胆がよい。植物も構造物として存在し少し軟らかさを提供

②硬い構造物は常に存在することを忘れずに
 構造を変化させるのは大変でお金もかかるので、植物を変化させて楽しむ
 使用する材質は多くても三種類以内がよい

③必要なのは均一性(uniformity)ではなく統一性(unity)
 ヘレンはインテリアに木をたくさん使い、庭にも同様に木を使う

④隣との境界は小さな庭では大変重要
 フェンスや壁の緑化のバランスをうまくとる。材質を見せたい場合は植物はからませない

⑤小さな庭でも秘密の場所は確保すべし
 ヘレンの庭の奥にあるテラスは、シデの生垣により見えにくくしてある



2017年8月18日金曜日

プライバシーを大切にする小さな庭


ガーデンイラストレーテッド誌に掲載の小さな庭の2つ目は、ガーデンデザイナーのバーナデット・デン・ビーマンさんの自邸の庭です。

彼女は25年前にオランダのオスにあるこのタウンハウスに引っ越しました。当時は紅葉スモモの木が庭の隅にあるほかは芝生だけの100㎡ほどの庭だったそうです。ここの欠点はプライバシーがなかったこと。まわりの家から丸見え。子供たちが大きくなって芝生が不要になってから、自分自身のためのプライバシーを大切にする庭造りを開始。

庭を長く見せるように、細長い池を中央に配置。池の縁は腰かけるのにちょうどよい高さと幅になっています。池の横のヨーロッパイチイの生垣は、腰かけると視線をさえぎり、たって歩くときには視界を妨げない高さに剪定されています。

彼女は顧客にプライバシーをすぐに確保できるように成木を植えることを勧めます。この庭にはアメリカキササゲが中央に2本、ヨーロッパブナが南側の縁に3本植えられて、庭に日陰をつくり周囲からの視線をさえぎっています。

庭は全体に日陰になるために、日陰でもよく育つ植物・・シダ、ギボウシ、サラシナショウマなどが植栽されています。茂った植物が幾何学的な強い直線を和らげてくれています。

長方形の高めに作った池とレンガの園路が視線を建物からそらし、
ひろい空間を感じさせます.
シュウメイギクやシダ、デルフィニウムなどの植栽が直線を和らげます

家の横には石板を敷き詰めた小さなテラスは周りから見えにくいところにあり
家族で食事をする場所になります

細長い池の横に咲くシュウメイギク

テラスの上には金属製のフレームに取り付けた日除けシェードがあり
ダイニング用のテラスを涼しくしてくれ、視線もさえぎってくれます

葉色の明るい植物や敷石が日陰の庭が暗くなりすぎないように配置されています
レンガの壁にかけられた鏡や壁沿いの明るい葉色のギボウシも光を反射し、庭を広くみせています

細長い池に直交してデッキの板やレンガを並べて庭に長さとともに幅広い幻覚をみせます

ガウラ、ワレモコウ、ロシアンセージなどを混植





2017年8月14日月曜日

スタイリッシュな小さい庭


タウンハウスやシティハウスではたいていは狭い庭しかありません。でも日々の生活での息抜きや週末のランチ、家族の友人との集まりなどに役立てることも可能です。庭は庭に入って見るだけでなく、家の中から眺めることも多いですね。ガーデンイラストレーテッド誌の8月号では小さい庭で役立つアイデアを5つの庭を通して紹介しています。




最初に紹介している庭はガーデンデザイナーのデクラン・バックリー氏による庭で、直線的に仕切ることで、傾斜のある荒れたグラスの庭を一年中興味の絶えないダイナミックな庭に変えています。デクランは街中の小さな庭の問題点をスタイリッシュに解決するのに長けていて、このロンドンの南東部にある庭に訪れた際にはいつものように家のすべての窓から庭を眺めてからデザインを始めました。この庭のオーナーの希望は美しい姿の植物と社交の場でした・・

このわずかに傾斜のある庭では、少しずつ段差のある区画の花壇の集まりとし、
一番手前には草丈の低いヒメツルニチニチソウと低木のトベラ、そしてウラハグサを植栽

最大のインパクトを狙ってデクランは一種類の植物をまとめて植栽し、
直方体に剪定したボックスウッドと一緒に直線的に配置、
アガパンサスやバーベナが季節により彩りを放ちます.

傾斜は3段の異なる花壇とし、オークを使って土留めをしています.

前面ガラスの壁はこの庭のデザインと一体のもので、
庭のグラス類などがこの時期は眺められます.

プラスチックのイスのターコイズの色が、
濃い色に塗られたオークの土留めを背景に際立っています

板張りのデッキが家と庭をつなぐ役割をし、
シダやグラスとの相性もとても良い

デッキと同じ木材を使ったベンチが植栽を取り囲み
腰掛ける場所を提供しています.
ベンチの下に隙間があり、中に浮いているかのように見せています.


デクラン氏の小さな庭の植栽プランの5つの秘訣

①まず冬にどう見えるかを考える
 常緑の植物の割合を大きくすると季節毎の興味がつくられる

②垂直な面を忘れずに
 壁を植物を育てるのに利用して、境界をぼやかして広くみせる

③小さな庭こそ大きく考えよ
 多数の種類を少しずつでなく、選りすぐった植物を大胆に使う

④背の高い植物も怖がらずに使おう
 全体が見えないと小さくても大きく見える

⑤ボックスウッドの代わりにニシキギも良い
 小さな鉢植えにして育てると2年ほどで立派に育つ


・・・他の庭もこれから紹介していきましょう。



2017年8月3日木曜日

小さな庭向けのグラス類


グラス類はわずかな風でもそよいで、ガーデンに動きを与えます。大きなガーデンにたくさんの大きなグラス類が群生してそよぐ姿は素晴らしいものですが、狭い庭にはとても植えられません。



キャロルはガーデナーズワールド誌の最新号で、大きな庭でなく、小さな庭向けのグラスを紹介しています。多くはグラス類が一か所に一緒に植えてあることが多いですが、他の多年草の花などと一緒に植えると本当の美しさが発揮されます。



(左)Molinia caerulea 'Edith Dudszus'(ヨウシュヌマガヤ)
(右)Imperata cylindrica 'Rubra'(チガヤ)


(左)Hakkonechloa macra (ウラハグサ)
(右)Pennisetum alopecuroides 'Hameln'(チカラシバ)


(左)Melica uniflora
(右)Milium Effusum 'Aureum'(イブキヌカボ)

Miscanthus は3月から4月に切り戻し、新しいシュートがでやすいようにします。


グラス類を植えるときは、色や質感、高さや形が異なる種類を組み合わせるのが大切です。


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私の庭にもここに紹介されたPennisetum alopecuroidesが育っています。
このグラスは実は日本ではチカラシバと呼んでいて、草原や道端などで見かけるものです。
庭のチカラシバはすでに花穂が伸びていて、朝は朝日を受けて美しく輝いています。