コッツウォルズの亜麻畑

コッツウォルズの亜麻畑

2022年12月3日土曜日

受粉を媒介する昆虫の減少について

 


雑誌ガーデナーズワールドの今年の3月号に Where have all the pollinators gone? と題するモンティー・ドン氏の記事が載っていました。「花はどこへ行った Where have all the flowers gone?」という有名なフォークソングがずいぶん昔に世界でヒットしていて、日本でも1960年代からたくさんのアーティストがこの曲をカバーしてきました。そんな記事の題名に興味を持って読んでみると、受粉をする昆虫たちはどこへ行ったと、その重要性を彼は訴えていて、最後は曲と同じように「私たちはいつになったら学ぶの When will we ever learn?」で結んでいます。受粉をする昆虫が減少している現状と、それに対して我々に何ができるかについて、大変示唆に富む記事ですので、全文を紹介したいと思います。


『私は、第二次世界大戦の深い陰で育ちました。多くの退役軍人がそうであるように、ダンケルクで吹き飛ばされ、新司令部に入り、ビルマのジャングルで最後を迎えた私の父も、6年間の戦争の間、毎日戦いましたが、それについては決して語りませんでした。しかし、父は深く落ち込んだり、激しく怒ったりする傾向があり、唯一、他の退役軍人と一緒にいるときだけ、世界に対して本当に安らいでいるように見えたのです。

彼がジャングルから出てきてから10年後、私はコミック本のヒーローや映画、そしてこの勇敢で狭い島が卑劣なフン族に立ち向かうという不朽の神話を聞かされていました。しかし、ラジオから流れてくるある曲は、幼い私でさえ、両親が感情を無理に抑えているのがわかるほど、深い悲しみで部屋を満たしていたのです。キャサリン・フェリエの歌声はいつも引き金になりましたが、特にマレーネ・ディートリッヒが歌う「花はどこへいった」は、どうしようもない深い悲しみへの窓を開けたのを覚えています。


さて、私の両親が墓場に行ってしまったのは、もうずいぶん前のことです。今、戦争を覚えている人はほとんどいなくて、私の家の庭は花でいっぱいです。傷は癒えました。 私の世代は、かつてないほどの平和と繁栄を経験しましたが、幸運の割には、あまり多くを学んでいないように思います。しかし、花粉媒介者はどこに行ってしまったのでしょう。私たちガーデナーは、「花粉媒介者のために植物を植えなさい」と言われ、多くの人がそうしてきた。その過程で、エコロジーに貢献し、美を追求してきたつもりです。しかし、花粉媒介者の数は危険なほど少なく、減少しているため、花粉媒介者を監視する人たちの間では警鐘が鳴らされており、私たち全員にとってはっきりとした音で聞こえるはずです。

曲と同じように、これは循環効果なのです。 花がなくなるので、花粉媒介者の餌がなくなり、花粉媒介者の数が減る - だから、花は受粉されず、その結果、衰退する。そして、私たちが介入しない限り、それは容赦なく続くのです。 もちろん、介入には積極的なものと消極的なものがあります。野草の生息地を破壊しないことと、花粉媒介者が好む植物を積極的に育てることは、園芸家にとって同じくらい重要なことなのです。 しかし、いずれにせよ、この状況は決して良いとは言えません。

いくつかの数字を紹介します。2021年のビッグ・バタフライ・カウントでは、12年前のカウント開始以来、全種類で最も少ない蝶の数が明らかになりました。平均的な人は、2020年の11匹、2019年の16匹に対して、2021年はわずか9匹の蝶と蛾を記録しました。 最も打撃が大きかったのはクジャク蝶、イカルスヒメシジミ、ルリシジミですが、ほとんどの種が減少しました。 この減少の一部は気候変動に起因するもので、春先の温暖化が活動を活発化させ、春先の湿潤化が摂食と繁殖の両方を妨げているのです。 しかし、この減少は長期的なものです。

1976年の長く暑い夏以降、蝶の数は75%以上減少しています。生き物を育て、保護することに正当な理由など必要ないはずですが、蝶、特に蛾は重要な花粉媒介者です。 ブッドレア、ライラック、ラベンダー、セイヨウカノコソウ、ヤナギハナガサ、セダム、そして多くの種類のマツムシソウとヤグルマギクは、蝶に大きく依存しているのです。

しかし、蝶は最もよく報道されますが、鱗翅目(蝶と蛾のなかま)のうち蝶は5%以下であり、残りは蛾です。イギリスに蛾は2,600種以上いて、特にフクロナデシコ、ナデシコ、アメリカナデシコ、マツヨイグサ、スイカズラ、ニコチアナ、ヤグルマギクなどに引き寄せられると言われています。 蝶は美しく貴重ですが、蛾は欠かせません。

これはほんの始まりに過ぎません。受粉を媒介する昆虫の数は軒並み減少しているのです。在来種のスズメバチ、ハサミムシ、テントウムシ、ハナアブなど はすべて数が減少しています。もし、これらが従来の受粉媒介者のように聞こえないなら、考え直してください。スズメバチは、花の受粉を行うだけでなく、害虫を大量に食べてくれるのです。ハサミムシはダリアをかじるためだけではなく、果物のアブラムシを食べ、花から花へと移動して受粉を行うのです。テントウムシはアブラムシを求めて花から花へ移動し、移動中に花粉を集めて再分配します。ハナアブは庭の花々を好みますが、英国にいる250種ほどのハナアブは、野生の花の花粉媒介者としても重要な存在です。

ミツバチは、ここ数年、ミツバチの数を増やすことに注目が集まっていることを考えると、十分とは言えません。集団性のミツバチが最も注目されがちですが、単独性のハナバチも花粉媒介者として同様に重要であることは間違いありません。ミツバチとマルハナバチを含む英国内のハナバチ270種のうち、約250種が単独性の種です。 しかし、中にはマメ科やヒナギク科など特定の植物に特化した種もあり、そのような種が絶滅する可能性もあります。

実は、ご存知のように、授粉媒介者がいなければ、人間の生活は成り立たないのです。受粉を媒介する昆虫の種類の減少が、私たちが知っている世界の終焉につながるとは誰も言っていませんが、それは、あらゆる点で生活をより困難に、より貧しくする可能性があり、またそうなるのです。

では、どうすればいいのでしょうか?花を育てる。 たくさんね。 あらゆる種類の花を。 野原や生垣の花、木や草や雑草の花、そして私たちが愛する庭の花。これが重要なメッセージです。 花を育てよう、いろいろな花をたくさん。

しかし、これを微調整することで、大きな効果を得ることができます。ミツバチのような舌の短い受粉媒介者のために、アクセスしやすい花が必要です。 例えばヒナギク科の花は幅広く開いていますし、アリウム、マジョラム、クローバー、ラベンダーなど、小さな小花が集まって咲いている花もそうです。舌の長いマルハナバチは、ジギタリス、アザミ、ボリジ、ソラマメなどが好きです。 蝶と蛾のための植物を提案しましたが、一方、イギリスには約1000種の甲虫が生息しており、セリ科や強い香りを放つ平らな花を受粉する重要な昆虫です。甲虫は主に香りに誘引されます。 

花だけでなく、草も刈らないことで育成する必要があります。草丈の長い芝生は、イネ科植物や雑草の花粉を集めるだけでなく、チョウやガの毛虫の餌にもなります。イラクサは、クジャク蝶、ヨーロッパアカタテハ、シータテハなどの幼虫や、数種の蛾の餌になるので、群生させましょう。

単独性のハナバチのための家を作りましょう。竹のような中空の茎や、木のブロックに穴を開けて作ったチューブ、小枝や藁を束ねたシースなど、凝ったものからシンプルなものまで、お好みでお選びください。ほとんどのチューブや穴は、一端が閉じているべきです。というのも、開いている筒は防御力が低すぎるため、利用される可能性が低くなるからです。

最後の命令文は、最も分かりやすいものです。どんな種類の農薬も使ってはいけない、です。害虫を殺す薬剤という名前そのものが、その無節操さを示しています。 カリフォルニアでは、農薬が散布されたアーモンドの果樹園に受粉させるために、農家がミツバチを連れてくるという不条理なことが起こっているのです。世界は豊かで、多様で、複雑です。ガーデナーとして、私たちはそれを受け入れ、共に働かなければなりません。自分たちの限界に合わせて残酷に単純化しようとしてはいけません。

より多くの花粉媒介者を呼び寄せるためには、野生の花、生垣、野原、そして植物の多様性を育むよう、農業を奨励する必要があります。しかし、私たちが積み重ねてきた景観は本当に大きなものなので、ガーデナーが果たすべき役割はますます大きくなっています。しかし、もう時間がありません。危機的な兆候は明らかなのに、私たちはいつになったら学ぶのでしょうか。』

<> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> 


私の庭では四月になってブルーベリーの花が咲くと、クロマルハナバチやクマバチ、ミツバチなどのハナバチがたくさんやってきて、その羽音が一日中聞こえていました。しかし、2020年の春は羽音がなぜがほとんど聞こえず、ハナバチの姿がほとんど見られませんでした。その理由は良く分かりませんでしたが、その年の収穫量は例年のわずか1/4程度でした。いかにハナバチたちの受粉が大事なのかを痛感しました。幸いに2021年にはハナバチたちがやってきてくれて、収量も例年通りに戻りました。そんな経験から、受粉に携わるさまざまな昆虫たちの減少は深刻な事態を招きかねないというのもよく理解できます。




2022年11月9日水曜日

ガーデナーズワールド司会のアダム・フロスト氏の紹介

 

ガーデナーズワールド誌の10月号にアダム・フロスト氏の紹介記事が載っています。

彼はBBCの園芸番組ガーデナーズワールドに以前からプレゼンターの一人として出演していましたが、最近では総合司会のモンティー・ドン氏が不在の時に、彼に代わって総合司会をよくするようになっています。彼は 'How I Garden' (私のガーデニングの仕方)という本を最近出版しており、その本の内容をここで紹介しています。




『私は、ガーデナーやデザイナー、ましてやテレビの司会者になろうとしたわけではありません。しかし、今になって、私に影響を与え、物事に取り組む方法を教えてくれた重要な人々や指導者がいることに気づきました。 16歳で仕事を始めて以来、私は懸命に働き、危険を冒し、そして幸運にも恵まれてきたと思います。 』

『私がガーデニングに興味を持ったのは子供の頃です。「さえないおばあちゃん」、「さえてるおばあちゃん」と呼んでいた2人の祖母は、私に大きな影響を与えました。 「さえてるおばあちゃん」はソーシャルハウジングに住んでいて、祖母と祖父は貸し農園を持っていました。 私はその一部を使わせてもらい、「アダム」と書かれたスレート片を持っていました。 庭は70年代の典型的な郊外の雰囲気で、芝生にきれいなストライプが入り、たくさんのバラや観葉植物が植えられていました。「さえてるおばあちゃん」は少し支配的で、裏門の外にある茂みを縛ってしまうこともありました。

そして、もう一人の「さえないおばあちゃん」です。彼女と祖父の庭は、それほど大きくはありませんでしたが、発見される前のヘリガン(第一次大戦後に放置され、1990年代に復元されたイギリスでも有名な庭園)のようなものでした。生い茂っていて、ちょっと手に負えないし、おばあちゃんは何も捨てようとしないのです。 

私は15歳になるまでエセックス州で育ち、その後、家族でデヴォン州に引っ越しました。私は学校のシステムになじめなかったのですが、それは私が失読症であるためかもしれないと、今になって思います。 16歳のときに家を出て、下宿して仕事を探しました。料理が好きで、軍隊でシェフになろうと思っていたのですが、園芸にも興味がありました。 幸運にも、私はノース・デヴォン公園局で昔ながらの有給見習いとして、ヴィクトリア朝の公園でのガーデニングやスポーツピッチの整備をすることになりました。 そこで4年ほど働いた後、ロンドンに戻り、メンテナンスと造園の仕事に就きましたが、ここでも実地訓練を受けました。』


現在のアダムと3歳の頃の水やりをしているアダムの写真


『そして21歳のとき、幸運にも、偉大な園芸家でありテレビ司会者でもある故ジェフ・ハミルトン氏のもとで、庭の造成、維持、植栽の仕事をすることになったのです。彼は植物に詳しく、野菜作りにも熱心で、私は彼と彼の息子であるニックから多くのことを学びました。 彼は、オーガニック・ガーデニングという点では同業者の先をいっており、私にとっても環境への配慮という点では非常に重要な存在でした。 

ある日、私はGeoffに、庭の設計をやってみないかと言った。 そして、デザイナーであり造園家でもあるデビッド・スティーブンスに連絡を取ってみたらどうかと提案され、デビッドが私に教え、私の素晴らしい仲間になったのです。 Geoffが心臓発作で急死した後、Davidは、私がBarnsdaleのGeoffの庭を去るとき、設計と建設の会社を設立することを提案しました。

彼に感謝することはたくさんあります。それ以来、私はランドスケープデザイナーとして成長する旅に出ていますが、RHSチェルシーフラワーショーのショーガーデンを手がけることは、このプロセスの重要な一部になっています。

私は幼い頃から物を作ったり、工作したりするのが好きで、プロポーションや色、素材など、自分が好きなものを生来的に理解していました。ディスレクシア(読み書き障害)であることも関係しているのかもしれませんが、私には他の人にはない、立体的なものの見方があるように感じています。しかし、年齢を重ねるにつれて、自分の能力に自信を持てるようになりました。』


20代のはじめに指導をうけた故ジェフ・ハミルトン氏(上)
その後、自立して造園を始めたころのアダム(下)


『今はそれなりの広さの庭を持っていますが、昔はそうではありませんでした。下宿に住んでいたときは、ベッドの端に観葉植物を置いていました。その後、バルコニー付きのスペースに住み、数年後には小さな庭付きのアパートに住みました。

どんな広さのスペースでも、それを最大限に活用する方法を見つけることが重要なのです。窓辺に植物を集めたり、キッチンテーブルの上で多肉植物をトレイに載せて育てたり、そんなことからたくさんの楽しみを得ることができます。ガーデニングのやり方は、土地の広さではなく、考え方次第だと思います。屋外で楽しむだけでなく、家に持ち込んで家族の食事を作るための果物や野菜、家の中を飾る花やシードヘッドなど、さまざまなものがあるのです。

実りある庭とは、人生のシンプルな喜びを味わい、素敵な思い出を作るためのものです。 私の場合、庭の手入れをすることで、楽しみが生まれるのを待つのではなく、楽しみのきっかけをつくることが大切だと考えています。 また、家の外と内をつなぐことで、自然界をより身近に感じることができ、それが精神的な健康や幸福にプラスに働くと信じています。』



2016年からガーデナーズワールドの番組スタッフの一員となり活躍している

 <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <>

ガーデナーズワールドの名プレゼンターだった故ジェフ・ハミルトン氏との出会いが、ついには自分もまたプレゼンターとなるという縁に、彼もまた感慨深いものがあるのだろうと思います。

今年彼が王立園芸協会から出版した下記の本を買って読んでみました。庭のさまざまな物を手作りする方法を丁寧に解説した、DIY派にはとても役に立つ本だと思います。

同じく今年出版されたアダムの書籍




2022年2月15日火曜日

キッチンガーデンのデザインの仕方

 

 『第二次世界大戦中、英国政府は、飢餓を回避するために花壇を耕し、芝生を切り開いて野菜を栽培し、「勝利のために掘る」よう英国内のすべての有能な男女に呼びかけたのは有名な話である。今日、イギリスの新しい陸軍園芸家たちは、工業的に生産された食品を食べないようにするために、同じことをしているようだ。』という一文で始まる2007年のイギリスの新聞ガーディアン(The Guardian)の記事には、イギリス国内で第二次世界大戦後初めて、野菜の種子の売上が花の種子を上回ったことを伝えています。

 イギリスでは貸し農園(Allotment)で多くの市民が草花を栽培しているのは有名な話ですが、特に野菜の栽培が盛んに行われています。

 イギリスの園芸雑誌 ガーデナーズ・ワールド (Gardeners' World) は、BBC放送の同名の園芸番組のテキストではありませんが、いずれも記事や番組に野菜の栽培を多く取り上げています。日本ではNHKの趣味の園芸という番組が古くからありますが、2008年に姉妹番組『趣味の園芸 やさいの時間』がスタートし、日本でもガーデニングブームは下火になって、自家製野菜栽培ブームが起こっています。



 ガーデナーズワールド誌では1月号でも野菜作りの記事がたくさんです。その中から、キッチンガーデン(菜園)のデザインについての記事を紹介します。


 この記事の著者はルーシー・チャンバレンさんで、100エーカー(40ヘクタール)の屋敷にある壁に囲まれたキッチンガーデンの主任庭師をしています。彼女は12メートル四方の土地に自身の小さなキッチンガーデンを5年前にデザインしました。

あなたは何を育てたいですか?

 桃、スイートコーン、エンドウ豆など、新鮮なうちに食べられるものを優先的に選び、季節の食材を意識するようにしましょう。

そして、月ごとに新鮮なもの、保存のきくもの、保存のきくものをリストアップして、不足分を補いましょう。

例えば、アーティチョークは場所を取り、収穫量も少ないですが、ルーズリーフサラダは限られたスペースで驚異的に収穫できます。

最終的には、クリエイティブなセンスと予算が、あなたの畑のデザインを決定するのです。私たちは、食用植物と鑑賞植物をミックスしたポタジェを選びました。リラックスしたロマンチックなスタイルが、この田園風景にぴったりで、直線的な花壇が庭に形を与えます。



むずかしい場所への対応

できれば、設計を工夫して難しい部分を改善し、その条件に合う作物を選びましょう。 

たとえば、一般的なレイズドベッドは、私のところの軽い砂質の土壌には合いません。保水性がとても低くて、ずっと水をやり続けなければなりません。

しかし、重い粘土質の土壌では、庭の堆肥や表土を加えることで、レイズドベッドは水はけを改善することができます。

栽培しなければならない作物のリストを作成する前に、土壌のpHテストも行ってください。

土壌のpHは、野菜の病気の発生を抑制する上で重要な役割を果たしますし、栄養分の利用率にも大きな影響を与えます。

開けた土地では強い風が吹いて、受粉してくれる蜂がちが花に集まりにくかったり、インゲンマメの葉が千切れてしまったりする可能性があるので、風よけを作ったり、傷みやすい作物の植える場所を慎重に選んだりします。


キッチンガーデンのプランを書き出してみよう


①食用作物の栽培に適した広さを計算し、方眼紙に縮小図を描いてください。北向きと南向きの方角を書き留めておきます。この方角によって、どんな作物をどこで栽培できるかが決まってきます。

②水道栓や電源の場所を確認して、必要なら増設します。

③すべてのエリアがアクセス可能であることを確認し、不必要に手狭になってしまわないように道幅は最小限にとどめます。

④温室や小屋など大きな構造物の位置を決めます。もしすでに建っていて場所が悪いときは移設できるか検討します。すでにある木々も必要に応じて取り除きます。

⑤このような大きなプロジェクトは、少しずつ取り組むか、他の人に任せるか、どちらかです。

⑥プランにコンパスのポイントを記入し、1日の日照・日陰の量を測定します。一年を通しての変化も考えてみましょう。 この情報をもとに、どの作物をどこで栽培するかを決めます。

⑦春の陽当りは、初期の作物には最適です。私の区画の西の隅にある風よけのある区画では、初夏のキャベツ、ほうれん草、ベビーカブ、ビーツなどをガラスのトンネル遮光板の下で栽培しています。秋に植えたソラマメも、最初の早生ジャガイモと同じように、この場所で育てています。

⑧日当たりの良い場所には、桃、イチジク、デザート用ブドウなど、糖度の高い果物を置いておきましょう。 壁やフェンスに囲まれている場合は、扇仕立てや垣根仕立ての誘引に使用します。

⑨南向きや西向きの花壇は、トマトや唐辛子など暑さを好む長持ちする野菜に最適です。

➉日陰はキッチンガーデンのデメリットではなく、日陰でも育つ作物もあります。 ランドクレスやケールなどの葉物野菜や、グーズベリー、カラント、クッキングチェリーなどの果物は、日陰で涼しく根を張ることができるため、美味しく食べられます。






扇仕立てのグースベリー




2022年1月28日金曜日

地球環境を改善するためにガーデナーが力を合わせるためのキャンペーン



 ガーデナーズ・ワールド誌の今年1月号では、Growing Greener Campaign の立ち上げを表明しています。ここでいうグリーンと言う言葉は単に緑色、緑化といった意味だけでなく、地球環境に配慮したといった意味が加わっているようです。

 記事のタイトルは『未来は私たちの手の中にある』で、『私たちの庭はすべて気候変動の影響を受けていますが、多くの人はその対策についてほとんど知らないのです。そこで私たちは、環境にやさしいガーデニングのあらゆる分野の専門家とともに、英国の2,200万人のガーデナーの力を結集し、今すぐ積極的に行動を起こす方法を紹介するグローインググリーナーキャンペーンを開始します。』と書かれています。


それを実践するための具体的な10の項目が挙げられています。

1)とにかく栽培しよう

  植物は二酸化炭素を吸収し、地面の水分を保ちます。

2)家に畑を持とう

  自分で栽培すると、遠隔地から野菜を運ぶエネルギーは不要です。

3)灰色を緑色にしよう

  庭のあらゆる表面を緑でおおえば、壁の断熱効果が上がり、二酸化炭素を減らします。

4)殺虫剤や化学肥料を減らそう

  必要不可欠な昆虫や植物を死滅させ、河川を汚染します。有機栽培に取り組もう。

5)節水しよう

  温暖化で真水がますます貴重になっていきます。

6)野生生物を保護しよう

  気候変動で野生生物の絶滅も危惧されています。

7)削減、再利用、リサイクル

  ガーデニングに使うものも手入れをして、長く使うように。

8)プラスチックへの依存を断ち切ろう

  プラスチックは化石燃料から作られ、環境汚染の原因となっています。

9)堆肥をより上手にたくさん作ろう

  堆肥づくりは地球のためにできる最良のことのひとつです。

10)耕すのを減らし、ピートを使わない

  泥炭(ピート)は大量の二酸化炭素を貯蔵しています。土もそうです。



<> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> 


日本でもガーデニングをしている一人一人が、少しずつ取り組んでいけば、状況は変えられるのかもしれません。



2021年12月28日火曜日

持続可能なガーデニング

 

ガーデナーズワールド誌の12月号は真っ赤なドアに掛けられたクリスマスのリースの写真が表紙で、クリスマス気分を盛り上げるデザインです. 




12月号で特に気になった記事は、

Small steps to big changes (小さなことから大きな変化へ)

と題する、園芸番組の総合司会者のモンティードン氏の記事です。


副題は、『持続可能なガーデニングは、どんなに小さな区画でも、積み重ねれば大きな進歩につながります。 モンティは、私たちの足跡をより良くするためにできる、いくつかの重要な変化について概説します』となっています。
さらに、ページの右上には、『気候変動は人類が直面する最大の課題である』と書かれています。



内容を簡単にまとめて紹介します。

『14年前、この雑誌のために、庭の持続可能性について記事を書きましたが、その後も残念ながら状況は大きく変わっていません。


石油は依然として全体の支配的な問題である・・ ガーデンセンターで私たちが買う植物は車で配送される、暖房して育てられている、ビニールポットに入れてプラスチックの名札をつけて売られる、といった具合で、私たちのガーデンは原油の湖の上に作られています。


ガソリンエンジンから静かで性能のよいバッテリー駆動へと、園芸用の器械が変わってきたのはよい変化である・・ 生垣の剪定器械、芝刈り機、チェーソーなど


ここ数年で特に野生生物の保護が注目されている・・ より持続可能なガーデニングの実践は野生生物の利益になるが、それは副産物です。


持続可能な庭園の主目的は・・ 大量のカーボンの使用を減らし、カーボンの排出を減らし、水を有効に活用し、可能な限り自足自給可能な庭にすることです。


その最終目的は十分な食料ということではない・・ 狭いながらもできるだけ、果物や野菜、ハーブなどを育て、マルチングや植物の培養土の材料や肥料を自前で作るといったことです。貸農園をもっと増やして庭を持たない人たちにも利用できるようにするのも大いに役立ちます。


水の管理は自給自足の一部・・ 欧米の人々は皆、水道の蛇口から無限に水が供給される環境で育ってきたが、近年は洪水と干ばつが交互に頻発しています。水の管理は水の吸収のネットワークの問題でもあり、庭で水が吸収されない舗装面は少ない方がよいし、湿地の植物、グラス類、樹木など水をよく吸収する植物を増やすのも役に立ちます。家の前の庭が駐車場のために舗装されるのは、持続可能性とは相いれないことです。車の所有を減らしたり、生きた駐車場に変えていくべきでしょう。


減らすとは増やすこと・・ 消費量を減らすということは、機械の使用量を減らすということだけでなく、植物の購入量を減らすということでもあります。園芸業界はこのことに怒るかもしれませんが、短期的な装飾のために何百万本もの植物を生産し販売することが問題の一部であることは、不都合な真実です。植物の消費量を減らすには、栽培量を減らすのではなく、自分たちで繁殖させた植物をより多く栽培すればよいのです。種子を採取し、挿し木をし、株分けする。 余分な植物を隣人や友人と交換する。これは、植物を買う楽しみを諦めるということではなく、ただ買う量を減らすということです。


ピートモスは持続可能ではない・・ 言うまでもなく、庭にピートモスを使うべきではありません。ピートモスの原材料の泥炭の採取は環境破壊行為です。泥炭の採取は地球温暖化の原因となります。庭に泥炭を使う理由は決してありません。 


農薬、除草剤、殺菌剤、殺虫剤を使ってはいけない・・ 言わずもがなのことですが、何度も繰り返し言う必要があるのではないかと思っています。これらの製品を使用することは、失敗を認めることであり、悪いガーデニングであることを認めることなのです。優れた庭園はすべて、自然に逆らわず、自然と共存しているのです。持続可能な庭とは、捕食者と被食者のバランスを保ちながら、いわゆる「害虫」を自らコントロールする庭のことです。


私たちがやってはいけないことは、ここまでです。私たち全員にとっての救いは、意味のある持続可能性とは、罰せられるものではなく、可能性と喜びに満ちているものだということです。それは、この美しい世界を持続させるために、私たちが自分の家の裏庭で創造的かつ生産的にできることに基づいているのです。』



なかなか耳の痛いことや、むずかしいことも書かれていますが、ガーデニングでも持続可能性や地球環境への配慮が重要になってくる気がします。一人一人のごく小さな取り組みでも、何億人という規模になれば、とても大きな変化を起こせるのは確かでしょう。我が家の庭でもできることから始めたいと思います。



2021年11月19日金曜日

読者の庭コンテスト2021結果発表

 

ガーデナーズワールド誌が開催したガーデンズ・オブ・ザ・イヤー・コンペティション2021の結果が誌上で発表されました。そして、次号では優秀賞の庭、次々号では読者が選んだ「People's choice」の発表がある予定です。(読者による投票は現在進行中です)




最優秀に選ばれたのはナディン・ミッチュナスさんの貸農園の庭です。

彼女はオックスフォードシャーの日当たりの良い貸農園(アロットメント)に、花が咲き乱れ、野生動物が賑わうパラダイスを作りだしました。2010年に雑草の生えた1区画からスタートした彼女は、何年もかけて3つの区画をたった一人で数百種類の観賞用植物の美しいコレクションに変え、豊富な果物や野菜と一緒に育ててきました。ドイツ出身の Nadine さんは、花粉媒介者の生態学者としての仕事を通じて、植物や自然界に対する好奇心と、ガーデニングに対するオープンなアプローチを身につけ、これらすべての点で審査員は、彼女のユニークな貸農園の庭に魅了されたのです。


庭づくりの最初は次のようなものだったそうです。

『最初の区画を借りるのにも1年半かかり、借りたときは真夏でした。敷地内の草は胸の高さで、あとは雑草でしたが、それでも「やったー!」と思いました。最初は道具もなく、ハサミで草を刈っていたんですよ。ハサミを持ってひざまづいているだけで、こんなにも作業が進むのかと感心されました。その後、貸農園のおじさんたちが草刈り機を持って手伝いに来てくれました。その時におじさんたちから「はたして本気でやっているのかと思っていたが、本当にやっているんだな」と言われました。』


その後は、

『花を植えている区画では作業は少なくて、いくつかの植物を切り戻し、冬の終わりごろに大掛かりに切り戻しをするのが主な作業で、肥料や水やりはほとんどしていません。一方、野菜は春に種から育てているので、たくさんの水やりが必要で花よりも手がかかります。

数年前に、ナチュラルな植栽デザインや新多年草運動のことを知り、とても気に入ってそれに関する本をたくさん読みました。そして育てやすい何種類かのグラスを育て始めました。』


彼女の庭はナチュラルガーデンで、フルーツや野菜も育てています。野生生物(ワイルドライフ)たちにとっても住みやすい庭です。

ワイルドライフについても彼女は次のように述べています。

『私は、ここに多くの野生動物を招き入れたことを誇りに思っています。私が楽しめるだけでなく、野生動物にも多くの恩恵を与えることができるエリアです。アブラムシがいても気にしません。この方法でガーデニングをするには、忍耐と耐性が必要です。アブラムシを全部殺してしまうと、テントウムシが来なくなってしまいますからね。そのくらいのバランスが取れていれば、大きな問題はありません。私はアブラムシで植物を失ったことはありません。私は、攻撃されても大丈夫なように、回復力のある植物を育てています。ここではすべてが調和しています。ただ、少しの時間と、アブラムシなどを見ても手を出さず、パニックにならないことが必要なのです。ハチやチョウ、トンボなどの無数の昆虫、カエルやイモリ、鳥、ハリネズミ、キツネなど、訪れる大小の動物を観察するのが大好きです。私は野生動物用のカメラを持っていて、他の方法では見ることのできない夜行性の大きな動物を観察するのに使っています。』


審査員のアラン・ティッチマーシュ氏は、『これは本当に良いガーデニングだと思う。どの植物も素晴らしく、とてもよく手入れされている。』とコメントし、

審査員のディアムイド・ゲイビン氏は、『彼女は本当にここにパラダイスを作っている。しかも、従来のデザインルールには全く縛られていない。』とコメントしています。






合わせて625平方メートルの栽培スペースがあるので、ナディンさんのすべての区画のプランを紹介することはできませんでした。下の写真はナディンさんの最初の区画で、彼女がいかに機能的で美しい空間をデザインしているかがわかります。




左下の写真は庭を作り始める前の写真です

<> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> <> 


庭のスタイルはさまざまで、フォーマルガーデン(整形式庭園)のように整然としている庭があれば、メドウガーデンのように野草が咲く草原のような庭もあります。ナディンさんの庭が最優秀賞を獲得するというのは、生物多様性を重視してさまざまな野生生物が住みやすいナチュラリスティックな庭が現代の一つの方向性であることを示しているのでしょう。


2021年3月20日土曜日

今年も人気園芸番組の放送が始まりました

 

変異ウイルスでロックダウンがつづいたイギリスでしたが、今年もBBCの園芸番組のガーデナーズワールドが昨日から始まりました。いつものように司会者のモンティー・ドン氏の自邸の庭ロングメドウの様子からです。イギリスで蔓延しているセイヨウツゲ(ボックス)の病気が彼の庭でも広がって、彼の庭のジュエルガーデンやコテージガーデンでは庭のボックスの低い生け垣を取り払って様子が随分変わっています。

モンティは必須の剪定をはじめ、多年草の植え替えや株分け、唐辛子の種まき、今年の野菜の栽培などを行っています。

昨年の秋、ジョー・スウィフトさんはスウォンジーを訪れ、スー・ケントさんのアロットメントで野菜を栽培するという新しい計画を知りました。ノッティンガムシャー州のクランバー・パークでは、100種類以上のルバーブの全国コレクションを管理している情熱的なガーデナーとの出会いがあり、リーズでは、日陰の裏庭をコンテナと工夫を凝らしてどのように変えたかを紹介しています。

また、ノーフォーク州のブレッシンガム・ガーデンでは、キャロル・クラインが冬に輝く植物のハイライトを紹介し、その後、視聴者から寄せられた映像を紹介します。






春が来て、これから一年で一番美しい季節を迎えます。ガーデニングで最もワクワクする季節ですね。コロナ禍でもガーデニングは心身の健康のためにとても役立つことを実感するこの頃です。

2020年6月11日木曜日

BBC園芸番組で一般視聴者の動画を放送


イギリスの公共放送BBCの人気園芸番組のガーデナーズワールドでは、4月から一般視聴者から庭の動画の募集を始めました。新型コロナウイルスの大流行による外出制限のもと、一般の人たちがどのようにガーデニングをしているのか知りたいとして、ガーデニングでの独自の工夫などを短い動画にしてネットで送ってくれるようにホームページに掲載しています。

BBC放送のガーデナーズワールドのホームページ

ホームページの犬と司会者の写真の下に、「動画の送り方はここで」 と書かれたところ(下の写真の黄色い矢印のところ)をクリックすると、


動画の投稿の仕方と、投稿の入力画面が出てきます(下の写真)


(ブラウザーの自動翻訳画面)




現地時間の6月5日の夜に放送された番組では、3つの動画が放送されました。


キャサリンさんは古くなって使われなくなったパレットを利用して棚などを作る方法を紹介しています。
(番組の17分経過あたりで)
次は、子どもたちとのいろいろな楽しみを紹介する家族からの投稿です。
(番組の28分経過あたりで)
最後は、芝生の刈り方を工夫して野生生物にやさしい庭をつくる方法の紹介をする大学の先生からの投稿です。
(番組の51分経過あたりで)

さらに、投稿された動画の一部はガーデナーズワールドのフェイスブックやツイッターで紹介されています。ホームページのフェイスブックやツイッターのマーク(下の写真の赤矢印)をクリックするとみられます。


下の写真はツイッターの動画の一部です。



イギリスの普通のひとびとが自宅の庭でやっているガーデニングの一端を垣間見られる楽しい企画です。是非のぞいてみてください。